研究メンバー

上林 清孝 KAMIBAYASHI Kiyotaka


宇宙生体医工学研究プロジェクトにおける研究内容

 ヒトは二足による不安定な立位姿勢を維持しながら歩くことができます。この歩行動作を生成するためには、下肢を中心に数多くの筋肉の活動をリズミックに調節する必要があります。このような筋活動は、大脳皮質や脳幹といった上位中枢からの指令や脊髄内の神経回路によって生み出され、筋や皮膚などにある感覚センサーからの情報によっても調節されると考えられています。感覚情報のなかでも特に荷重に関連した情報が歩行の筋活動制御に重要な役割を担っているとされます。
 宇宙に目を向けますと、地球の重力が1-Gであるのに対し、火星は3/8-G、月は1/6-Gとなり、火星や月での歩行では荷重の大きさやそれに伴う感覚情報が地球とは大きく異なると予想されます。こうした重力環境の変化に適応するため、歩行に関する神経制御システムがどのように変化するのか興味深い研究トピックです。現在は、空気圧で体重を免荷できる特殊なトレッドミルを用いて、火星や月に相当する体重条件にて筋活動パターンや脊髄反射興奮性の変化を調べています。