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拠点長からのご挨拶

理工学部 機械システム工学科 教授 辻内 伸好

理工学部機械工学科教授 辻内伸好

同志社大学の研究の独自性は、研究の自由を尊重しつつ、本学の教育理念である「キリスト教主義」「自由主義」「国際主義」、さらには建学の精神である「良心教育」を研究の文脈で読み解き、現代的課題に取り組む点にあります。この独自性により、本学の研究活動には、産学官民のあらゆる層から高い関心と期待が寄せられています。

「宇宙生体医工学研究プロジェクト」は、同志社大学における理工学、生命医科学、スポーツ健康科学、脳科学などヒトの健康に関する分野の統合を図り、「宇宙生体医工学」を利用して健康寿命の延伸に取り組むための統合的研究基盤と国際的連携拠点の形成を目指し、2018年4月に同志社大学先端的教育研究拠点として発足いたしました。本プロジェクトは、同志社大学が手掛ける他の先端的教育研究拠点(一神教学際研究センター、技術・企業・国際競争力研究センター、エネルギー変換研究センター、ライフリスク研究センター)や40に及ぶ研究センター群の研究活動にも共有され、本学が今日的課題の解決に向けて取り組む研究基盤となっています。

外部環境、社会情勢に係る現状と課題に目を移せば、超高齢社会を迎えた日本においては加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)や骨粗鬆症などの運動器障害によるロコモーティブシンドローム、糖尿病や高血圧を発症するメタボリックシンドロームに対する予防と改善が、健康寿命を目指す上で喫緊の課題となっています。我々の研究グループは、これらのシンドロームを引き起こす身体諸機能が宇宙環境滞在などの微小重力環境下で助長されることに着目し、宇宙空間への身体諸機能の適応とその防止策を追求する「宇宙生体医工学」を応用することにより、地球上の健康寿命の課題に取り組むことを企画いたしました。

大学は、その歴史の初めから、研究者個人の価値判断により自由な研究を行うことができる場として機能してきました。このことは今も変わりはありませんが、現在の状況は、大学に研究と教育に加えて社会貢献と言う第3の使命が課せられていることを、強く意識させるものとなっています。
このような状況から、大学には、以前にも増して、技術の進展がもたらす社会への影響、人間や社会形成に対する洞察を深める機能が求められております。研究のステージが基礎から応用、研究開発から社会実装へと進むにつれ、大学には競争と協調のバランスを保つ機能が求められますことから、総合大学である本学は、本プロジェクトによる科学技術の研究成果を社会福祉をはじめとする社会科学の分野へと展開する、文理双方の課題解決に取り組んでまいりたいと考えております。

宇宙環境を利用し、地球上の健康寿命の延伸を目指す独創的な研究を実施することから、プロジェクトの英文名称を、

Doshisha Research Project for Active Life in Space Engineering and Medical Biology

とし、「Doshisha Space-DREAM Project」と名づけました。

本プロジェクトでは、宇宙生体医工学の発展に寄与するとともに、地球上の歩行困難者および宇宙飛行士のための新規運動療法、リハビリテーション方策・機器の開発、創薬等の実用化に繋げる夢のある研究を推進いたします。

拠点長からのご挨拶
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